と何度も洗脳されるように言われたが、残念ながらアタシは祐紗兄の方の試合を観戦しに行く。
一ノ瀬琉葵さんにチケットをもらったから、祐紗兄がプロになって、初めて試合を観戦することになる。
言うまでもなく、空未は架嗄には内緒で試合を観に行くらしくオシャレをして、メイクもばっちりで出ていった。アタシも同時刻に家を出たのだが、会場は真反対にあるため、途中まで一緒に行くことはできなかった。
ルンルンとスキップするようにバス停まで行き、緑色のラインの入ったバスに乗り込んだ。
バスに揺られていると、ふいに着信音が鳴り、ケータイが光った。
『おはよう。今日の試合、来てくれる?
…なんか図々しいね(笑)』
噂の一ノ瀬琉葵さんから。
背筋が自然と伸びて、前傾姿勢になってしまう。ケータイを持つ手は一瞬で汗だくだ。
『もちろん、応援しに行きますよ!!』
行かないわけがないじゃないですか。
『嬉しいよ、俺、今日調子よくなりそう♪』
『頑張ってください!!
そういえば、観やすい席ってどこら辺ですか?』
どうせなら、一番近くで応援したいからね。
『案内するよ。今どこ?』

