シンデレラの王子は。


「ちょっと前はいるとか言ってたけど、今は知らない」
「えっ、前の人誰?!!」
前のめりになって問う。
「アタシは架嗄じゃないから解らん」
「ですよねー」
「ってか、修旅の時に勢いで告っちゃえば♪」
ムリムリムリムリムリムリ、とブンブン首を横に振った。
本当に無責任なんだから。フラれたらショックで立ち直れなくなっちゃうよ?そしたら、全部羽海のせいにしてやるんだからっ。
「でも、好きな人と同じ班とかよかったねー」
ジュースをストローで吸いながら言う。
「でもね、架嗄ったら、さきちゃんとはるくんのためにくぅと同じ班になったんだよ?!」
「あー、あの2人付き合ってるからね。いーじゃん、ホントは死ぬほど嬉しいんでしょ?」
コクリと頷くしかない質問。

本当はずっとどこかで想っていたから、痛いほどよく晴れた空の下で太陽の様な君と瞳が逢った時にビビッと感じてた、“架嗄が好き”で壊れちゃいそうだよ、苦しいよ。
瞳を閉じれば浮かぶのは架嗄の輝く笑顔。
だれよりも
いちばん
好きだよ。
きみもくぅのことを一番に想っていてくれたらいいのにな、なんて欲張りになるくらい。

「羽海、ありがとね♪くぅ、今年中に絶対告るぞって思えた」