シンデレラの王子は。


「架嗄がいるから張り切っちゃって☆」
はいはいと腑に落ちない返事をして、恋する乙女にわざとらしく冷たい目線を送ってやった。
でも彼女はそんなことお構い無しに語り始める。
「でねっ、くぅ、また架嗄に目覚めたかもしれないんだよー///」
「なんでアイツがいーのか解らんけど…」
「えっ?!だって、かっこいいし、おもしろくて優しいからー」
あーもうこれは重症だ。
前にもこんなことあったな。


-----あれは確か中学時代

既にアタシは幸せ者。
ご存知の通り、アタシはこの時先生と付き合っていた。
っと、そんなアタシのことは全く関係ないわけで…

彼女の甘酸っぱい青春が始まったのは、真ピンクの桜の絨毯の上のこと。

中学最後の1年。始業式が行われるその日には、街中がピンク色に染まり、胸にいっぱいのウキウキを抱え、大親友と桜のトンネルを手を繋いでルンルンと潜っている。
そんな時だった。
「おい、そこのばか!!」
「かぁずーさぁー!!!!」
「返事したってことはばかだー♪」
さっきまでルンルンだった羽海は、なんだか不機嫌になっていた。それでもにやにやと嬉しそうな架嗄。二人は仲のいい(?)双子ちゃんで、くぅの幼馴染み。