シンデレラの王子は。


「ぶぁっか!!!いーに決まってるでしょっ羽海の兄弟なら大歓迎よっ」
下心丸見えの空未はのせいで、明日は架嗄が泊まりに来ることになってしまいました。
本当に嫌。
兄弟がいる人なら理解してくれる、この嫌さ。
部屋汚ないとか言われそうだから、一応綺麗に掃除はしておいたつもり。てか、祐紗兄の家に泊まればいいのに。なぜにわざわざこっちに転がり込もうとしてんの。
とかなんとか言いながら、めちゃめちゃ汗をかいたであろう架嗄がなんの違和感もなく、家に来てしまった。
「おかえりー」
…って、普通に言っちゃったよ!?
「ただいま。羽海、風呂」
「風呂沸いてるよ」
「おー、気が利くっ♪」
はっ?ちゃっかりしてんなよ。しかも、さりげなく使われてるぞ、空未は部活でまだ帰ってきてないけど、なんか居心地悪すぎる。このままここにいたら、架嗄に使われまくるぞ。そんなのごめんだ。
「架嗄ぁー、ちょっと出掛けてくるから」
「りょーかい」
風呂場の方から声が聞こえてきて、アタシはここから逃げ出した。
架嗄は茶髪で、アタシが上京する前よりもチャラくなっていた。中身は変わってないっぽかったけど。靴は脱ぎっぱなしだったし、エナメルは玄関に置きっぱなしだったからね。