俺の左側に寄り掛かってきた瞬間、髪からシャンプーの匂いがした。さっきから心臓が止まりそうなくらい高鳴って、聴こえてしまうのではないかと思うくらいだっていうのに、追い撃ちかけるように俺がときめく仕草ばっかりしてくる。
「…妹ちゃん?」
隣を見るとスヤスヤ眠ってる。まだ泣いた痕付いてるよ。
どんだけないたんだ。
何があったんだよ。
聞きたくても聞けなかった。またこいつが泣くとこなんて見たくないと思ったから?
解らないけど、そんなとこだろう。
俺は祐紗がバスケやり始めたときから似た者同士仲が良くて、祐紗の妹のこいつのことも知ってる。祐紗とは違うチームだったし、こいつとは挨拶程度しか面識なくて、俺のこと知らなくて当たり前だけど、『覚えててくれてるかも』ってどっかで期待してたから、『覚えてない』って言われた時、ショック受けた。
俺ってこう見えても、すげぇ一途なんだよ。ガキの頃から、祐紗のチームと戦う時はめちゃめちゃ調子よくてさ。何故ならば、応援席に必ずこいつがいたから(相手側のだけど) 。それだけで、俺がボール持ってたら俺のこと観てくれるよなって思って、必死だった。その度、俺って単純な男だなと思ってた。

