本当に驚くと、心臓まで一時停止するんだと思った。一時停止が終わった時の脈の打ち方が半端じゃなかった。
「…兄貴」
架嗄はそれがどういうことなのかを誰よりも知ってる、そのせいかカタカタ震えていた。
「おぅ。架嗄ぁ~、羨ましいだろー♪
この間来てたおっさんいるだろ?あのおっさん、ELUCAのコーチ兼スカウトマンらしくてさ。俺のことすげぇ褒めてくれんだよ!!!!
まじで、あの日にあのおっさんに話しかけられた時、シカトしなくてよかった~的なっ」
祐紗兄がそうやって自慢気に言う度、架嗄はコクッと頷いていた。
「兄貴、俺……」
「あ?」
「……いや、やっぱ何でもねぇ。すげぇなぁーと思ってさ!!」
「おぅ!!羽海はなんも言ってくんねぇのな。」
「ELUCAの選手になるなんてスゴすぎて、なんも言えなかっただけだよ。本当おめでと」
「サンキューな。」
祐紗兄は照れるようにニカって笑ってすごく嬉しそうだった。
その後、祐紗兄が架嗄に話しているのを一部始終見ていた。
『架嗄、お前、いろんなとこから勧誘されてんだろ?』
『なんで知ってんだよ』
『母さんから聞いた。今んとこよりと強ぇとっからも誘われてんだから、そっち行けよ。』
『それは…』

