ELUCAのホームの体育館の中には、すでに沢山の観客が席を埋め尽くしている。流石日本一強いチームの試合だけあるなぁ。相手チームの方も、熱狂的なサポーターの方達がごった返している。
一ノ瀬さんは先程よりも、深くキャップを被り、顔を隠している。それは、プロのELUCAの選手だもんな、バレたらやっぱり囲まれちゃったりするのかなぁ。
「はい、ここ座って、特等席だから!!」
その席は本当に最高の場所。1番前のコート全体を満遍なく見渡せる“特等席”だ。
「ありがとうございます」
「じゃ、俺のこと観といて」
ニカッと無邪気に笑う君が眩しい。一言でギューとなるかんじ、何かの感覚とすごく似ているのだけれど、その何かが解らなくて、またモヤモヤとしていた。
スタメンの名前がアナウンスされ、選手が入場していく。
あっ、祐紗兄だっ!!
一ノ瀬さんも出てきたー♪
体育館の両隅にはチアの人が短いスカートに、丈が短いピンクのタンクを着て踊っている。あんな可愛い人に応援されてたら、選手はめちゃめちゃ嬉しいだろう。もしかして、祐紗兄の彼女があの中にいたりして。
そうこうしていると、試合が始まった。

