俺は救急車を呼んだ。

車の中、担架の上で眼を瞑るミズを見て
不安が消えなかった。


「ミズ・・・」
「ゴメン・・・俺が・・・」

俺がこんなとこ連れてこなかったら・・・、
ミズは病気って知っていたのに・・・。


不安と後悔が入り混じる心。

「ご家族の方ですか?」

救急車に乗った医師が俺に聞く。


「い、いえ・・・友達です・・・」

「この方のご家族は?」

『この方』とはミズの事。

「分かりま・・・せん・・・」


何も判らない。

帰ったら家族の人に謝らなくちゃ。
全部、俺のせいなんだから・・・。


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─病院到着─

「未寿っ!?大丈夫なの!!」


おそらくミズの母親がミズに駆け寄る。
その心配そうな姿に罪悪感が重くのしかかる。

「・・・・」

俺は黙ってその姿を見ていた。


「貴方・・・」

俺の存在に気付く。
怒鳴られるかな・・・?



「ごめんなさい・・・」




謝ったのは俺じゃなくて
ミズの母親の方。


「・・・え?」

「あの子の我が儘に付き合わせちゃって」
「そのうえ、迷惑まで・・・」


潤んだその瞳はミズとよく似ていた。

罪悪感、不安、後悔、情けなさ。
俺まで泣きそうになった。