夢は空想の世界。

そんなの判ってる。

でも、忘れられないんだ。


あの子の事を─・・・。


いつも笑って、こっちを
見てるあの子。

でも顔がはっきり
見えなくて・・・。


そのまま消えてゆく。

俺は、いつもその子を
眺めて呆然としていた。


これはあくまで夢の話だ。


─ジリリリリリリッ─

目覚まし時計が鳴り響く現実。

「ん・・・ねみぃ・・・」

俺は小野原 大広。
15歳で今年から受験生。


階段を下りるとテーブルに
一通の置手紙。


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大広へ

今日も仕事が残ってて
帰りが遅くなります。

      お母さん

*=*=*=*=*=*=*=*=*

「・・・・・」


俺の母さんは毎日、
仕事で忙しく家に帰るのが遅い。

父さんは外国で会社を建てた。
だから父さんも家に居ない。


まあ、寂しくはないけどね。

学校へ行けば友達も居るし。


でも、俺は知らなかった。




俺が一番、逢いたかった人に
今日、巡り合えるなんて・・・。