一時間目の妙なインパクトのお陰で今日は時間が進むのが早く感じた。

「ふう。やっとHRだ……」
今日は一沙と帰る約束をしていただろうか。

ぼんやりとそんなことを考えながら、トイレに向かう。

丁度良いタイミングだったのか、トイレには数人しか居らず、ホッとしてドアを開けた。




「……」
「あ、志水さん」




パタンとドアを閉める。

おかしい。これはおかしい。
女子トイレに何故男子が平然と入っているんだろうか。



もう一度ドアを開ける。
「志水さん、やほー」
「……」
唖然とした顔で理子が見ていると、その男子は思い出した様にポケットから小さな紙切れを取り出し、ずい、と理子に押し付けた。

「これ、読んで」
にへらと笑いながら、ゆっくり便座から立ち上がりトイレから出て行く。








何故誰も気付かない。