「りっちゃん、ねぇ~ りっちゃんてば~」

僕を呼ぶ声がする

「待ってよ~ 置いていかないで~」

聞き覚えのある声....

「早くしろよ~ 置いてくぞ~」

あれは、子どもの頃の僕?

じゃあ、あの子は?

「あっ!」

声と共にズザァーと派手に転ぶ音が響いた

「うぇ~ん」

女の子の泣き叫ぶ声が辺りに響き

子どもの頃の僕がその子に駆け寄った

「大丈夫?あ~あ、手が真っ赤だよ?」

今は冬だろうか.....辺りは雪が積もり、

素手だったその子の手はかじかんでいた

「しょうがないな~」

子どもの僕はその子の手を取り

「はぁ~」と息を吹き掛け温めた

「りっちゃんの息温か~い」

嬉しそうに言う少女

そう、この子の名前は確か....

「さ...く....」