休み時間。
 隣でヤツは俺を見ながらずっとニコニコしている。
 やっぱ俺・・・顔になんかついてんじゃねーのか?
 机に座ったまま、俺は顔を手のひらで触りまくる・・・。
 なんもねーじゃん!!
 そんな俺を見て、涼太は笑い出した。
「なっ、なんだよ!」
「ぷッッ・・・いや、面白くて・・・それ、癖なの?」
 ・・・いや、癖じゃねーし。
 お前がずっとこっち見っからだろ!!
 と言いたかったが、結局何も言えず・・・顔で訴えた。
「あ、悪い悪い・・・謝るからそんな顔すんなって」
「・・・別にいいけど」
 そういうと、涼太は笑みを浮かべた。
 ちょっ・・・俺の後ろで女子が倒れてる!!
 なんかめっちゃ幸せそうな顔してっけど・・・。
「おいおい・・・あれ、いいのか?」
 というと、涼太は女子を見て少しだけ顔をゆがめた。
「慣れたから・・・いいんだ」
 どうやら、彼女たちは涼太のファンらしい。
 ここまでモテるなんて・・・相当だな・・・。
 こうしてる間にも涼太の笑顔が拝めて嬉しいのか、女子たちはどんどん倒れていく。
 幸せそうな顔して。
 それを見た時、ふと思った。
「なぁ涼太・・・」
「ん?」
「お前は、女のことが苦手なのか?」
 そう聞くと、涼太はまた笑った・・・けど、作り笑いだ。
「・・・気づいちゃった?」
「顔に出てるからな」
 涼太が女子のことが嫌いになるのも無理はない。
 そりゃ、毎日こんだけ騒がれれば精神的にも疲れるだろうしな・・・。
「でも俺と同じ」
「えっ??」
 目を見開く涼太。けど、またすぐに微笑みを浮かべた。
 もう俺は女子に関わりたくない。深い関係になりたくない。
 女が泣く顔は、見たくないんだ。

ガシャーン!!!

「きゃああああ!!!!」

 なんだ!?
 突然鳴り響いた不協和音と悲鳴。
「おい、冬理・・・あれ・・・」
 涼太は指差した方を振り返った。
 ・・・ケンカ?
「いってぇ・・・馬鹿やろー・・・何すんだよ!!」
「お前が悪いんだぞ!! 俺に借りた金さっさと返せ!!」
「んだとー!?」
 机が転がってるってことは・・・コレで片方がもう片方を殴ったのか・・・。
 ケンカをしている男2人はどうやら周りのことが見えていないみたいだな。
 すごく迷惑なんだけど・・・。
バシーン・・・
「・・・やったな・・・てめェ!!」
バシーン!!
「さきに机で殴ったのはそっちだろ!? 話を聞け!!」
 ついに殴りあい始めた・・・。
「きゃあああああああ!!」
 女子1人が突き飛ばされた。
 膝からは血がにじみでる。
「紗江!! 大丈夫?」
「痛い・・・痛いよぉ・・・」
 突き飛ばされた女子の膝から流れ出す血。その量は尋常じゃない。
 そして彼女は泣き出した。