ゾンビのヒットマン

「元彼女さん、“お金のため”に、結婚したみたいですよ」


「どういうコトだ?」


なぜだ。

彼女はそんな人間ではなかったはずだ。

やはり仕事もない私が嫌だったというコトか。




「仕事のない誰かを助けるために、お金が必要だったんですよ、きっと」




……なん……だと?


「好きに使ってください。相手を殴るんでもいいし、文句を言うんでもいいし、もう一度やり直そうって、取り戻すのもいいですよね」


本当、なのだろうか。

もう一度、私にもチャンスがあるというのだろうか。


「つらくて苦しいのが人生です。でも、だから楽しいことが、もっと楽しくなるんですよ。苦しんで生きましょう、へなちょこ様」


私は、“ゾンビパウダー”とメモ紙を胸ポケットにしまい、代わりに銃をデスクに置いた。

まだ抱き合っている二人を見るのはつらい。

なるべく見ないように努力した。


そうだ。

あんなにつらかった就職活動。

そして就職をしてからは、さらにつらかった。

それでも生きてこれたのは、彼女がいたからだ。


今の私は、いつでも死ぬコトが出来る。

だから生きよう。

がむしゃらに。


携帯を取り出し、メールボックスを開く。

保護されたメール。

私は、慎重に、彼女への返信ボタンを押した。



おしまい