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日付の変わる直前。
あの日私は、いつものようにうな垂れながら、ピンクの街を歩いていた。
会社に戻るためだ。
当時私が所属していた≪黒田ダークブラック研究所≫。
名前からしてすでにブラック企業であるその研究所は、やはりブラック企業だった。
月の平均残業時間は250時間以上。
だが、残業代は出ない。
休日出勤は当たり前。
もちろん、休日に給料は発生しない。
成果主義であり、成約を取れなければ月給はそこらへんのアルバイト以下だ。
にも関わらず、成約は取れない。
1年間勤めていたが、成約は0だった。
成約が取れないのは当然のコト。
私は、≪黒田ダークブラック研究所≫が何を研究しているのかも知らなかった。
何も知らない状態で、何を売ればいいのかもわからないまま、毎日長時間飛び込み営業をする。
まともに話を聞いてくれる会社があるはずもない。
それでも私は、諦めずに飛び込み営業を毎日続けた。
朝8時から、日付の変わる直前まで。
我ながら、良く続けられたなと思う。



