ゾンビのヒットマン

 




◆◆◆◆◆





日付の変わる直前。

あの日私は、いつものようにうな垂れながら、ピンクの街を歩いていた。

会社に戻るためだ。

当時私が所属していた≪黒田ダークブラック研究所≫。

名前からしてすでにブラック企業であるその研究所は、やはりブラック企業だった。


月の平均残業時間は250時間以上。

だが、残業代は出ない。

休日出勤は当たり前。

もちろん、休日に給料は発生しない。

成果主義であり、成約を取れなければ月給はそこらへんのアルバイト以下だ。

にも関わらず、成約は取れない。

1年間勤めていたが、成約は0だった。


成約が取れないのは当然のコト。

私は、≪黒田ダークブラック研究所≫が何を研究しているのかも知らなかった。

何も知らない状態で、何を売ればいいのかもわからないまま、毎日長時間飛び込み営業をする。

まともに話を聞いてくれる会社があるはずもない。


それでも私は、諦めずに飛び込み営業を毎日続けた。

朝8時から、日付の変わる直前まで。

我ながら、良く続けられたなと思う。