ゾンビのヒットマン

二人が話している合間にも、私の両手に構えられた銃は、もじゃブタを狙っていた。

やはり、殺さない限り、この命令は解除されないらしい。

なにか、方法はないのだろうか。

命令を解く方法は。


「うーん、でもそれだけじゃないんですよねぇ」

ふむ、こんな場面にも関わらず素敵な声を出すとは、さすが私の女だ。

是非、“彼女にしてください”と命令して欲しいものだ。

「社長になりたいだけじゃなくて、これは大事な実験なんですよ。もし、“人を殺せない殺し屋”であるへなちょこ様でも、命令で誰かを殺せるようになるなら。“ゾンビパウダー”を、いくら出しても買うっていう人がいると思いません? そのために、へなちょこ様を“選んだ”んですよ。“ゾンビパウダーの実験台”に」


「ちょっと待っていただきたい」


今の言葉はどういうコトだろうか。

さすがの私にも理解出来ない言葉がひとつ、隠されていた。


「私を実験台に“選んだ”というのはどういうコトだろうか?」