ゾンビのヒットマン

「ゾンビ君の“ボス”がなぜ“ゾンビパウダー”を持っていたか。その答えを推測するのは容易い。“ゾンビパウダー”はね、盗まれたんだよ」


「“盗まれた”……だと!?」


「ああそうさ。奇妙な出来事だったよ。あれほど大切に管理していた“ゾンビパウダー”が盗まれるとは、予想もしていなかったからね。社員なら誰でも出入りできる部屋で、鍵のかからない棚に、“盗むな”というラベルを貼ったビンに入れておいたにも関わらず、盗まれるとはね」


「ひとつ確認なんだが……誰でも出入りできる部屋で、かつ鍵のかからない棚に置いてあったんだな?」


「ああ、そうさ。奇妙な出来事だろう?」


「摩訶不思議とはこのためにある言葉だな」


おそらくは“ボス”が“ゾンビパウダー”を盗んだ。

私がゾンビになっている以上、それは間違いないコトなのだろう。

もっとも、どうやって盗んだのか、という新たな疑問は生じてしまったが。