ゾンビのヒットマン

だが、私の優秀なところは、やりたいコトがあっても任務を遂行できることだ。

つまりこの場面では、“ここにきた理由を遂行する”というコトになる。

そう、私がわざわざ≪ビンゾ製薬株式会社≫まで足を運んだ理由。


理由…………。



…………理由…………。




「って、なぜ私はこの場所まで連れてこられたのだ!」


「おっそ! へなちょこ様、さすがにそれは遅すぎますよ! あぁ、もう。調子狂うなぁ」


「“はやい”よりは“遅い”方がマシだと思うのだが」


「……? なんの話かわかりませんけど」


この女、ときどきとぼけたフリをするようだ。

だがそこもまた魅力なので許そう。

……いつの間にやら私はこの女にお熱のようだ。

私を惚れさせるとは、たいした女だ。


「ゾンビ君。それなら僕が説明してあげよう。なぜグレーマスクに、君をここまで連れてきてもらっ」

「黙れ毛むくじゃら男! 私はグレーマスクからその説明が聞きたい!」


「ひどい! ヘタしたら今までで一番ショックだよ、そのネーミング!」


「わかりました。では説明しますね。そこの人は黙っててください」