ゾンビのヒットマン

このもじゃブタ、なかなか話がわかるヤツのようだ。

是非とも今度二人で、いや、できればグレーマスクも含めて三人で飲みに行って、グレーマスクは私の隣りに座らせ、社長にはお会計を全額払っていただきたい。

さらにいえば社長にはお金だけ置いていってもらって、途中退席していただきたい。


私はもじゃブタの言葉に頷くフリをしながら、グレーマスクの匂いを嗅いだ。

ふむ、なんど嗅いでも素晴らしい匂いだ。

部屋の芳香剤を作っている会社の方は是非とも、“グレーマスクの香り”の発売を前向きに検討していただきたい。


「ゾンビ君。甘い。君は甘いよ。まるで砂糖だ」


「……青砂糖……だろうか?」


「いいんだよ種類は。冗談なんだから、そこは流して欲しかったよ。想像しちゃったよ青砂糖。気持ち悪いことこの上ないよ。そうじゃなくて、考えが甘い。君の考えが甘いということだよゾンビ君」


「どういうコトだ?」


「社長秘書だから社長と関係がある。そんなのはドラマの中だけの話だ。僕に言わせればね。つまり、相手にされないんだよ! 僕だってできることならそういう方向に足を運ばせていただきたいよ!」