ゾンビのヒットマン

「はい、もじゃブタ……いえ、社長。連れてきました」


なるほど、グレーマスクは心の中でこの社長を“もじゃブタ”と呼んでいるようだ。

なかなか的確なニックネームだ。

頭頂部に触れていれば、もっと素晴らしいニックネームになっただろうが、そこまでは言うまい。

ネーミングセンスまであるとは、この女、今すぐ私の彼女になってくれないだろうか。


「よく連れてきてくれたね、グレーマスク君。…………っておーいおいおい!うおーい!なんだよなんだよ、もじゃブタって! 君、僕のことをそんな呼び方してたのかい!?」


「はい」


「否定してくれよう! 冗談ですよって笑ってくれよう! 即答って! 完全に定着してるじゃん! 君の中でそのあだ名、完全に定着しちゃってるじゃん!」


「すいませんでも……実際、もじゃもじゃでブタみたいですし」


「まあね、ははは……ってこらこらこらー! そんなの思ってても言っちゃいけないやつでしょうが! 言っとくけどね、今はこんな明るく振舞ってるけど、僕ヘコむよ? 今夜ヘタしたら眠れない勢いだもん」