さよなら、いつか。②―幕末新選組伝―



「誠の字は、“誠忠”から取ったのだ。」





近藤さんは照れくさそうに笑った。




誠忠───せいちゅう。





「どういう意味なんですか?」





「真心のこもった忠義、忠義一筋であることなど、そういう意味だ。」





近藤さんは優しく教えてくれた。





真心のこもった忠義。




忠義一筋であること。





綺麗な言葉だと思う。




新選組に、ぴったりな。





・・・あれ?




それにしても私、新選組の忠義を知らない。





「あの・・・」




「なんだ?」





聞きにくいけど、この先のことを考えると、聞いた方がいいよね。





「新選組の忠義ってなんなんですか?」





一瞬にして部屋がしんとする。





や、やっぱり聞いちゃ駄目だった!?





みんなの視線を痛いくらいに感じる。






「そういや、知らねえよな。俺ら近藤さんを好んで集まっただけだし。」





「別に将軍に尽くしてるわけじゃないしな。」





永倉さんと藤堂さんはうーん、と悩み込んでしまった。




知らなかったのかしら?




新選組幹部に存在しても。