「誠の字は、“誠忠”から取ったのだ。」
近藤さんは照れくさそうに笑った。
誠忠───せいちゅう。
「どういう意味なんですか?」
「真心のこもった忠義、忠義一筋であることなど、そういう意味だ。」
近藤さんは優しく教えてくれた。
真心のこもった忠義。
忠義一筋であること。
綺麗な言葉だと思う。
新選組に、ぴったりな。
・・・あれ?
それにしても私、新選組の忠義を知らない。
「あの・・・」
「なんだ?」
聞きにくいけど、この先のことを考えると、聞いた方がいいよね。
「新選組の忠義ってなんなんですか?」
一瞬にして部屋がしんとする。
や、やっぱり聞いちゃ駄目だった!?
みんなの視線を痛いくらいに感じる。
「そういや、知らねえよな。俺ら近藤さんを好んで集まっただけだし。」
「別に将軍に尽くしてるわけじゃないしな。」
永倉さんと藤堂さんはうーん、と悩み込んでしまった。
知らなかったのかしら?
新選組幹部に存在しても。

