「ありがとう。」 上から降ってくる優しい声。 沖田さんに抱きしめられる形になって、私の心拍数は上昇する。 沖田さん、いい匂いがする。 この時代に香水なんてないけれど、沖田さんのこの匂いは、春の臭い。 沖田さんに身をゆだねて、そっと目をつぶる。 ドクン、ドクン。 この速まる心臓の音は私? それとも────?