「ハァ…ハァっ…」





「大丈夫?翼。」





「篠原…走るの速いんだよ。」





「鍛えてるからね。」





俺だってそうだ、と言おうとしたけれど口を噤んだ。




だってこんなにも体力の差は歴然としている。





あそこから高台寺に戻るまで、結構な距離だった。





それを休むことなく全力で駆け抜けたって言うのに、どうしてこんなに涼しい顔をしているんだ?





「…これも、力の差か。」





「ん?」





「なんでもねぇよ。」






この小柄な体のどこにそんな持久力と力があるというんだろう。





関われば関わるほど、篠原の謎は増えていくばかり。