「みんな、拘束か。」
一通り藩士の手を縛り終えると、近藤さんがほっとした表情で歩み寄ってきた。
背後には、永倉さんの姿も見える。
永倉さんは親指をピンと突き立てて、よくやったと口パクで言ってくれた。
冷静になってあたりを見回すと、藩士たちの姿はなかった。
皆捕獲に成功したようだ。
ようやく池田屋事件も幕を閉じたのかな、と思った片隅不安がよぎる。
「沖田さんは!?」
いない。
藤堂さんもいない。
「総司と平助なら、さっき右の部屋に入っていったぞ。まさか、あそこに敵はいないだろう。」
確かに、敵はもういないと思う。
丞が調査した人数とぴったり一致したし。
でも、悪い予感がする。