気づいた時には、原田さんの手を振り払っていた。





触れられた瞬間、どうしようもなく嫌と思った。





「あ、の、えっと…」




どうしよう、言葉が見つからない。





「…ごめんな?」





俯いた私に降ってきたのは、原田さんの優しい声。





――――どうして?





原田さんは何も悪くないのに。





切なさに満ちた表情は、儚かった。





少し触れたら、消えてしまいそうなほど。






「…行こう。」





再び足を進める。




今度は、距離を置いて。




原田さんは怒ってもいない。





悲しんでもいない。





ただ、苦しさに。





苦しさに押しつぶされそうになっているのが、目に見えて分かる。





ごめんなさい。




どうしても、受け止められなかった。




優しく触れた感触も、もう沖田さんしか駄目なの。




原田さんだって、そうなんでしょう?




まささん、ひとりだけ。