「先頭は怖いです…」




ただでも嫌々ここに来たのに。




まさか、先頭なんて。





「行ってきな、あずちゃん。一応この中では一番たくましい女の子だからなぁ。」





ははっと軽快に笑う。




嘘でしょ…。




笑い事じゃないですよ、キンさん!




心の中で何度も反論しても、いまさらどうにも出来ない。





斎藤さんなんか、焦れていらいらしているのが目に見えるし。




手にギュッと力を込める。





「原田さん、行きましょう。」





「あ、ああ。」




キンさんから行灯(あんどん)を受け取る。




目の前にそびえ立つのは、真っ暗な森。




普通に生えてる木じゃなくて、それはあろうことか柳の木。




柳って、霊が宿るって聞いたことがある。




ぶわっと春の夜の冷たい風が吹くと、全身に鳥肌が立った。