海の色

遠くから見ると言っても、万が一見つかると困るので

ドーターは、ニーに自分の麻の服を着るようにすすめた。

膝まで隠れる麻の服。沖に突き出た岩の上に置いてある。

リジリは気づいてはいない。岩は遠く離れているので、きっと誰の目にも止まらないだろう。

魚夜祭を見るなら、その岩よりも近づいてはだめだとも、しっかりと言ってある。

きっと、大丈夫だ。

ドーターは、自分に言い聞かせて、落ち着きを取り戻した。

「ドーター、見ろよ!王族の船が来たぞ」



遠く、沖合いの方から、渦巻く波を越えて、白く大きな船が煙をあげながら、近づいてくる。