「おはよう、ドーター」

ドーターが浜辺にあがって来た頃には、とっくに日は昇っていた。
魚夜祭の準備のために、浜辺にやって来たリジリが声をかける。

「おはようリジリ。本当に朝早いわね」

「ああ、ドーターこそ、こんなに早くから魚捕りかい?」

「いいえ、気持ちがいいから泳いでいただけよ。今朝は暑いし」

そう言いながら、麻の服の裾を絞って、風に乾かしている。

「松明はできたかい?」

「できたわ。今から並べるところよ」

「ひとりで、大変だっただろう」

「そうね。けれど、間にあったからいいわ」

出来あがった松明の束を、波打ち際に沿って、砂浜に均等に並べていく。

腰を屈めるたびに、ドーターの髪がサラサラと風になびいている。

リジリは、その姿に顔を赤らめながら、残った松明の束を拾い上げると

「手伝うよ」

ドーターとは反対の方を向いて、浜辺に並べはじめる。