それでも、王族の船は危険を冒してまでも、島にやって来る。

それは、この最南の島で採れる『青い魚』の伝説のため。

年に一度、魚夜祭の夜にだけ、彼らの網にかかる魚は全て青く輝き、それは永遠の命を象徴すると言い伝えられている。

短い人間の生を、少しでも長らえようと、そんな伝説をたよりに王族はやって来るのだ。

「そんなの、ただの迷信に決まっているじゃないの」

ドーターは、松明の炎の色付けをするために、籠いっぱいに摘んできた赤や青の花、緑の苔などを、くり貫いた松の木片に詰め込みながらつぶやいた。

「あのこ、今日はどうしているかしらね」

空を見上げる。

日が紅く水平に染まっていく頃になっていた。