「これは、あたし」


プクっと、ニーは泡を吐くように、口を開いて息を漏らした。


「あれは、あのこ」


ドーターと、砂浜を交互に見つめながら、意味を考えている。


円と円。

つなげる線。


「あのこは、あたしと、近づきたいの?」


パシャパシャと音をたてながら、ドーターが近づいて来る。


「そうなの?」


「そうよ」


ニーは、逃げないで、ただドーターを見つめている。

ドーターは、ニーのそばまで来ると、背を屈めて、ニーと同じ高さでニーの瞳を見返した。


そうして、そっと、ニーの水に濡れた腕に触れてみた。

それは、自分とちっとも変わらない、人間の皮膚だった。


「友達に、なりたいの」


手にとった腕のこぶしを開かせて、ドーターは自分の頬にあててみた。


「私たち、なんだか似ているわ」


ドーターの頬に触れながら、ニーもそう、息を漏らした。