アウレシアは小さく舌打ちした。
どうしてここがわかったのだろう。
主力は向こうではなかったのか――?
様子をよく見ると、男達はどこかしら薄汚れ、服はところどころ切られた跡がある。
一行を襲撃したはいいものの返り討ちにあって、仲間と合流しようと逃げてきた――というのが正しいのだろう。
こうなると、失敗だった。
アルライカを行かせるのではなかった。
「グレン、逃げるよ」
短く呟いて、アウレシアは剣と短刀を抜きざま、イルグレンの前に出る。
「レシア!!」
人数が多いので、殺すよりまず、足止めしなければならない。
瞬時に判断し、動いた。
体勢を低く走りより、アウレシアはすり抜けざまに素早く足を狙う。
人間と馬、両方の足を薙ぎ払うと、両方の悲鳴が上がった。
倒れこむ男と馬。
馬は倒れながら痛みにもがく。
そうして、今度は近くの馬と男達が手当たり次第に蹴られて、周囲は一気に恐慌状態になる。
倒れこむ馬を避けようと、男達がそれぞれの馬から離れる。
「グレン!!」
振り返って叫ぶと、イルグレンはちゃんと着いてきた。
そのまま男達の脇をすり抜け、馬で追ってこられないよう木々の間を抜ける。
馬を隠してあるところまで行かなければ。
それまで、なんとしても距離を稼がなくてはならない。
男達が追ってくる。
「グレン、馬に乗って、先に戻るんだ。街道を戻ればあとはわかるだろ。足止めするから、ライカ達のとこに行け!」
「――」
驚いてアウレシアを見つめるイルグレン。