「ところで」
 ソイエライアの声が低く響いた。
「なんでお前一人で戻ってきた? レシアとグレンはどうしたんだ!?」
「俺達も襲われた。どうやら二手に分かれてたらしい。あっちのほうは全部始末してきた。グレンがお前らを心配してたから、様子を見に戻ってきたんだ。レシアとグレンには隠れてるように言った」
 呆れるような眼差しで、ソイエライアはアルライカを凝視した。
「こ、の、馬鹿野郎!! 護衛が依頼主をほっぽってきてどうするんだ!?」
「――グレンとレシアならちゃんと無事だ。隠した馬とも離れてるし、襲われた場所からさらに離れたとこに隠れるように指示したさ」
 あくまでも呑気なアルライカに、ソイエライアは苛立ちを募らせて叫んだ。
「刺客は北西に逃げた。ってことは、仲間と――お前達を襲ったほうの仲間と合流しようとしたんじゃないのか!? 本当に全部始末したのか? 一人でも生きていたらまずい。こっちに皇子がいないことはばれたんだ!!」
「なんだと!?」
 そこまで聞いて、さすがのアルライカも顔色を変えた。
「ライカ!!」
 リュケイネイアスとソルファレスが駆け寄ってくる。
「皇子様はご無事か!?」
「レシアと一緒か?」
「ああ――すまん。こっちも襲撃を受けて、全部片付けては来たが、置いてきちまった」
「ケイ、追いかけよう。馬ならすぐだ」
 ソイエライアが片づけを終えて立ち上がる。
「ファレス様はここで。俺達が行きます。すぐに出発できるよう準備しておいてください」
「わかった。皇子様をくれぐれも頼む」
「馬で行く! 案内しろ、ライカ!!」