翌日、何事もなく予定通り移動を進めた彼らは、いつも通り野営の準備をし始める。
 渡り戦士と皇子が準備を終える頃に、護衛隊長が五人の護衛を伴って訪れた。
「護衛隊所属、アルギルスです」
「同じくイルレオンです」
「アルジェドです」
「アラムです」
「カルナギウスです」
 順番に名乗って礼をする。
「とりあえず、この五人からよろしくお願いします」
「確かにグレンと背格好が似てるな」
「ああ。これなら一緒にいればかなり誤魔化せるだろう」
 アルライカとソイエライアが五人を品定めして頷く。
「じゃあ、今日はあたしが飯当番だから、男同士で頑張っといで」
 アウレシアに送り出され、天幕からほんの少し先の開けた場所に移動する。
「はじめるか」
 アルライカが剣を抜く。
「様子見だから、グレンと、あと二人かかってこい」
「では、俺とレオンが行きます」
 アルギルスがイルレオンとともに前に出る。
「おう。護衛の腕前見せてもらうぜ」
 そうして、些か厳しすぎる稽古が始まった。