一方、リュケイネイアス、ソイエライア、アルライカは諦めの境地で二人の勝負を見守っていた。
 三人は十分アウレシアの腕前を知っていた。
 彼女なら皇子に怪我をさせることなく勝つことが出来るだろう。
 本当なら、とっくに終わっているはずの勝負を長引かせているのは、アウレシアのほうだ。
 よほど頭にきているのか、いたぶるように打ち合いを引き伸ばす態度が如実に現れていた。
 確かに、皇子の筋は悪くない。
 力ではなく流れで剣をかわすアウレシアの動きに、戸惑いながらも打ち込んでくる剣さばきは、明らかにたしなみ以上の技量があった。
 しかし、いかんせん実践経験が足りないと、その場にいる全ての男達は思った。
 生命のやりとりをするための剣とそうでない剣は見てすぐわかる。
 皇子の剣は、所詮は行儀作法として学んだ綺麗な型だった。