「――」
 最後の一人を斬ってから大分時が過ぎている。
 それなのに、息は整わず、鼓動は早鐘のように熱く脈打っている。
 うまく息ができなかった。
 見下ろした視線の先には、自分が斬り殺した刺客達が転がっている。
 目を閉じている者もいれば、大きく見開いたままこと切れている者もいる。
 不自然に投げ出された身体。
 未だ流れる血。
 衣服についた返り血の臭いが、時折ひどく鼻につく。

 初めて、命を奪った。
 この手で。

 肉を斬る感触が、まだまざまざと残っている。
 肉を斬る際に、剣が骨にぶつかった感触も。