木々の間を縫ってやってくる男達は、皆覆面をし、顔を隠していた。

 十人以上は確実だ。
「そこにいろ」
 ソイエライアが先に前に出る。
「グレン、ソイエが言ったように、どこか斬るなら確実に身体の真ん中を一撃で。腕や脚は無駄だよ」
「なぜだ?」
「刃に血や脂がつけば、斬れにくくなる。そうなったら、骨のない下腹を突くしかなくなるからさ」
 生々しい言葉で、にわかに状況が現実味を帯びる。
 これはお遊びでも稽古でもない。
 生死をかけた戦いだ。
 剣を持つ手に力が入る。
 ソイエライアはすでに三人、走りざまに斬り捨てた。
 今は四人を同時に相手にしている。
 残りがこちらへ向かってきた。
 二人の周囲を取り囲む。
「後ろは気にしないで、前の敵だけ斬りな。後ろはあたしが斬る」
「わかった」