しかし、やはりアルライカは強かった。
 あわや勝てるか、と思うような場面もあるにはあったが、アルライカは後ろにも目があるように隙がなく、どうしても、打ち負かすだけの技量は、アウレシアとイルグレンの二人がかりでもなかった。
 悔しそうに、アウレシアが終わりを告げた。
 二人とも、とっくに息が上がっていた。
 アルライカもさすがに二人を相手にしたので、軽く息が上がっていた。
 逞しい上半身が、息をついて揺れている。
「――」
 同じ男から見ても惚れ惚れする。
 戦士として申し分ない体躯、筋力、剣技。
 こうでありたい男の鑑のようなアルライカを見て、イルグレンは素直に羨ましいと思う。
「ライカは何だってそんなに強いのだ?」
「この身体でお前に負けたら、俺のほうがおかしいじゃねぇか」
 呆れたようにアルライカは笑う。
「まあ、方法としては悪くねぇ。二人がかりはさすがにきつい。何だよ、グレン。最初なんかより、ずっと強くなったじゃねぇか」
「――だが、二人がかりでも勝てん。ソイエもこんなに強いのか?」
「俺とどっこいどっこいだな。俺らよりケイのほうが、それこそべらぼうに強い。今度相手してもらうといい」
「本当か!?」
「ホントさ。悔しいことに、俺とソイエだって、まだ一回も勝ったことないんだよな」
 肩を竦めてアルライカが言う。
 イルグレンは驚いた。
 こんなにも強いアルライカよりもリュケイネイアスは強いというのだ。
「まあ、グレンとレシアは経験の差だな。場数踏めば、強くなる。そう焦んな」
「あたしらが場数踏んでも、ライカも同じように踏んでたんじゃ、いつまでたっても追いつかないじゃん」
「わからんぞー。俺らが弱くなるってこともある」
「嘘くさい。よわっちーライカなんざ想像でもできないよ」
 笑い合う二人は、そうしていることがとても自然に見えた。