「――」
 イルグレンはそれを聞いて頷くと、
「もう一度だ」
 剣を構えて、向き直る。
「え、お、おい!?」
 イルグレンが仕掛けるのと同時に、アウレシアも剣を抜いてアルライカに向かう。
 二人に一度に攻撃されて、アルライカが慌てる。
「ちょっと待て、卑怯だぞ」
「このくらい余裕であしらえるだろ?」
 アウレシアがにやりと笑う。
「そうだ、一人で勝てないなら二人がかり――理に適っている」
 イルグレンも同調する。
「レシア、グレンに変なこと教え込むなよ」
「何言ってんだい。グレンが言ったとおり、理に適ってるだろが。こんな化け物じみた強さに正攻法で勝てるわけないだろ。押して駄目なら、押しまくる。今日こそ勝つからね」
「押して駄目なら引けよ!! ていうか、お前ら二人だと強いぞ!?」
 さすがのアルライカもこの二人がかりは少々てこずる。
 一月以上の稽古の成果で、イルグレンの腕はもとより、アウレシアの剣技にもさらなる磨きがかかったようだ。
「――ええぃ、畜生め。本気出すぞ、こら!」
「望むところだ!!」
「ライカの本気、見せてもらうよ!」