それでも、自分は生きていける。
リュマを失っても生きている自分を、いつか許すこともできるだろう。
だが、女にはできない。
血の絆か、それ以上の愛か、それとも後悔なのか、いずれにせよ、女は結果として弟を見捨てた自分が生きているのを許すことができないのだ。
自分自身を許してやることもできず、傷ついたままの女を見ているのはつらかったが、死んでしまうよりはいいと思った。
生きていれば、いつかきっとやりなおせる日が来る。
そうと信じて男は死を望む女を引き止めたが、それを復讐で補ったことで、女はさらに傷ついていくだけなのではないだろうか。
いっそ死なせてやればよかったのか。
そんな思いが胸をよぎる。
男は小さく呟いた。
「あいつが憐れでしかたがない」


