叩きつけられた痛みで、女はしばらく動けなかったが、それでも、何とか、身体を起こした。
「――大丈夫か」
 橋のほうから、かかる声。
 男がいた。
 痛ましげに、女を見ていた。
「……」
 ゆっくりと、男が近づいてくる。
 それが、女には終わりを告げる死神のように思えた。
 門を出ることはできない。
 弟のところに、行くことはできない。
 あの子の魂を送ってやることもできない。
 何もできない。
 自分に許されることは何一つない。
 そう、思い知らされるように――無力な自分を打ちのめす。
「――」
 女は、あきらめなければならなかった。
 終わったのだ。