「人間、色んな感情があっていいだろう?


 そもそも、人によって物事の感じ方は違う。


 一つの事に対して、一つの感情しか抱かないなんて事は無いと思うよ。」


 …


 一つの事に対して、一人の人が一つの感情しか抱かないなんて事はあり得ない



そうハッキリ断言された。



「普通」って言葉が、何だかすごく厄介なものな気がしてくる。




しかも、この野郎はどうしてこうも優しい感じで喋るんだろうか…



自分の中のトゲトゲとした部分が、一つ一つなくなっていくようだ。




確かに、今、この男を前にして感じている気持ちだって、一つじゃない…



敢えて一言でいうなら、「ぐちゃぐちゃ」だ。





「そもそもさ、百合ちゃんの表現が拙いと思うんだよね…

 うんうん。」



「…はぁ!?」