「…わかってるもん!
自ら人に欲を求めるものじゃない、他人のことを考えられる人になれ!
そーゆー意味でしょ?」
フンッと鼻で笑いながらお母さんを睨みつけるものの、
内心では、さっき考えといて良かったぁ〜と、まだバクバクいう心臓を抑えるのに必死だったりするのだ。
「…おっ!夕花わかってんじゃん!
保育園児でこんな優秀なんて、こりゃ将来が楽しみだなぁ〜」
心底嬉しそうな微笑みは一瞬で、
「…じゃあ今年の目標教えて?」
また悪戯っ子の笑みを浮かべる。
「…パパより早く走れるようになること!」
…半ばヤケになって言ったその言葉。
でも、その時は本気でイチミリ足りとも疑わずに言った言葉だったのだから…
…父はビックリしたように眉毛をあげて目を見開いた。
「…ハハハハハ
そりゃいいね、夕花!
パパなんてすぐ抜かせちゃうよ〜」
その言葉にうちは大満足。
パパのことは…
…知りませ〜ん。
「そー、夕花。
今日は夕花にとって特別な日。
お母さんやお父さんにとっても大切な日。
夕花の存在の大きさを毎年感じてるんだよ?
生まれてきてくれて、ありがとう。」

