……香水。
男を毛嫌いしてるうちに、自然と女子力の下がっていったうちのことを心配して、
というか多分、いや絶対面白がって、
莉子がうちの誕生日にプレゼントしてくれたんだ。
なんか、どっかの有名ブランドの香水らしいから、大事にしろ! って言われて
どーしよーもないから鏡の横に飾って置いたんだけど…
…なぜかその香水を見て伊藤の顔が浮かんだ。
なんでだろ?
なんで、伊藤の顔が浮かんだんだろ?
…って、時間ないんだった、うち。
もーいいや! たまにはつけてやる!!
シュシュッと首の後ろに降りかけると…
途端ふわぁ〜と、うちの周りに甘ぁい香りが漂った。
まるでシンデレラが杖の一降りでお姫様に変わったように
うちの纏うオーラが、一瞬で女の子に変わった気がした。
これを、みんな求めていたのかぁ…
この香水一降りで、自分が変わったような錯覚に陥るように、
他の女の子たちは、この自分が美しくかわる瞬間を、快感を求めて、
一生懸命メイクしたり、髪を巻いたり、辛いダイエットを頑張ったり、してたんだね。
……やっと、わかった気がした。

