けども。
 こういう体験をしてからじゃないと
 きちんと気付けないってのもなんだかなあ。


「うむ」

「ん?」


 小さく唸る声が耳に入って顔をあげてしまう。
 みられたくない、みたくない。

 情けない顔、してなきゃいいんだけど。


「今のやり取り、聞いてたでしょ?」


 壮ちゃんがにやり、と笑った気がするけれど
 ただ笑っただけかもしれない。


「ぅえっ?」

「怒らないから言ってみ?」

「なんでそんな上から……」