恋合わせ －私じゃ…ダメなの？－

それでも、このまま彼に甘えていることもできないと思い、右手で左胸を押さえながら、あたしはようやく口を開いた。


「こないだはホント、ごめん……」

「いえ…」

「でもね、別に電話して、映画を断られたことの文句を言ったりしようとか思ってたワケじゃないから」

「分かってました……」

「まだ連休は月曜日の休みが一日残ってたし、押しの一手でガンバれば、渋谷さん、あたしとデートしてくれるんじゃないかって思っちゃったんだ……」

「………」

「あたしね、渋谷さんに１００回謝るつもりでいたんだけど、でもホントに１００回も言われたら単にウザいだけだろうし、１００回分の気持ちを込めて、あと１回だけ言うよ…」

「………」

「渋谷さん、あのときは本当にゴメンなさい」

「いえ……もういいですから」

彼は微笑みながら、そう言った。

「許してくれる？」

「はい」

「ホントに？」