恋合わせ -私じゃ…ダメなの?-

肩で息をしながらあたしは言った。

「いえ…それより……」

「そっか、話だよね? そっか、そっか」

「………」

「あの……」

「………」

「あのね…あの……」

「アイツ、ココで働くために単身赴任してんの?」

「ウソ! 結婚してるの? アイツ」

「え、でも奥さんいたら、あんな臭い服、着て来ないでしょ?」


なかなか言い出せないでいるあたしのほうに、大声で話しながら若い女の子たちが近づいてきたんだ。

工場が大きければ、そこで働く人間の数も多い。その大勢の人間が一斉に退社するんだから、駐車場も静かな場所じゃなかったんだ。


「場所……変えますか?」

「あ…うん……」

渋谷祐二は黙ってあたしに予備のヘルメットを渡すと、自分用のヘルメットをかぶりバイクにまたがった。