それはまるで、開けてはいなけい“パンドラの箱”を開くみたいな行為だった。


「プルルルルル…、プルルルルル…」


電話の呼び出し音が一度鳴り、二度鳴り、そして三度鳴った。


だけど……。


だけど、いくら待っても電話の向こうから彼の声が流れてくることはなく、代わりに留守番電話サービスのメッセージが流れてくるだけだった。


“休みの日だし、まだ寝てるのかな…?”

そう思ったあたしはお昼過ぎにもう一度、リダイヤルをしてみた。


「プルルルルル…、プルルルルル…」


でも……。


でも、そのときも彼は電話に出なかった。

そして、夜になっても彼のほうから電話がかかってくることはなかった。


何かの理由で電話に出られない状況にあったのか?