恋合わせ -私じゃ…ダメなの?-



ついに決心をしたあたしは、良樹と暮らした部屋を出て、いよいよ寮に入ることにした。

決行の日は、今週の土曜日。

理由は、その日アイツがいないから。

高校卒業後、水泳で鍛えた体力を活かして鳶職(とびしょく)に就いた良樹は、水曜日から県外の仕事で出張に行くことになっていて、帰ってくるのは土曜日の夜。

アイツが出張に行っているあいだに、自分の持ち物を全部運び出して、その日のうちに派遣会社の寮に入るつもりだった。

“あのバカ、部屋に帰ったら、あたしがいないもんだからビックリするだろうな~♪”

そう思うと気分爽快だった。



「あのさぁ、奈央ちゃん」

仕事終わりに眞鍋さんが話しかけてきた。

「なんですか?」

「今週の土曜日さ、星野さんと、あと俺の友達二人を連れて、みんなでカラオケに行こうと思ってるんだけど、奈央ちゃんもどう?」

「ごめんなさい。あたし、その日は用事があって……」

「えっ…そーなんだ!?」