_4月8日。




私立東高校の、入学式。



この高校は、
一般人でも入れる ちょっと頭がいい高校だ。
しかも
全寮制で敷地が広い。



夢の高校だったんだ。



私、南芽衣は 

良く言ったら「真面目」、「優等生」
悪く言ったら「地味」


な ごく普通な高校生だ。



小さい頃から それがコンプレックスだった。



それに


人より何倍も人見知りで、



話しかけられても、何と答えればいいのかわからないまま


みんなが去って行ってしまった。





そのおかげで
髪は一度も染めたことがなく、真っ黒。
スカートは膝下で白い靴下。
読書ばかりの毎日のおかげで眼鏡がなくてはならなくなった。




こうして「地味」な私が出来上がっていった。






外にあるクラス表の前にはたくさんの人だかりが。



これはみんな同じ1年生なのか?




そう 思うほど大人っぽい人や



背の高い人がたくさんいて。




私みたいに地味な人は




1人もいなかった。





「はぁ・・・・・・E組か・・・」





ため息を大きくついて、
期待もしないまま教室へと足を進めた。






ドアの前に立った。




「フー・・・、ハー・・・」



大きく深呼吸をして、扉を開けた。








思っていた通り、女子は女子、男子は男子で
グループが出来上がっていた。





重い足を進めて
黒板に書いてある自分の席に腰を下ろした。



そしておもむろに鞄の中から愛読書を取り出し
読み始めた。




このままだったら、何も変わらない。・・・




どうすれば 変われるんだろう・・・




本を読みながら、ずっと考えていた。






話しかけに行こう。自分から。





そう、決意はしたものの、勇気が出ず



結局入学式の時間になってしまい、




話しかけれなかった。





・・・私はなんて臆病なんだろう。