「あ~あ。真未と一緒の先生だったらよかったのに」

  隣で実貴がむくれている。

「仕方ないよ。ほら、早く行かないと」

「ホントだ!じゃあまた帰りにね」

  実貴が自分の席に戻り、あたしは筆箱を机の上に出した。

  ところが、時間になっても先生は来ない。

  てか、生徒はあたし一人だけ?


  しばらくして、やっと先生が来た。

「遅れてごめんな」

  初めて見る、男の先生。

  結構……イケメン。

「あれ?他の二人は?」

  あ、他に生徒いたんだ。

  ちょっとだけがっかりしている自分がいた。

「ま、始めるか。テキスト出して~」

  あたしは言われるがまま、テキストを机に置いた。


「じゃ、これやってみて」

  先生に言われ、シャーペンを持った。

  何これ……ちょっと難しい。

  時間をかけながらも、何とか全部解いた。

「先生、出来ました」

  あたしが問題を解き終わった頃には、他の生徒も来ていた。

「ほ~い」

  先生はあたしのテキストを見ていく……。

「はい、これ間違い」

  早速間違えちゃった……。

「はい、これも。これも違う。これも、これも間違い」

  え、そんなに?

  気が付くとあたしのテキストはペケばっかり。

「じゃ間違い、全部直して。ケアレスミスが多いから、気を付けるように」

  先生はさらっと言った。

  ちょっと待ってよ。

  間違いなら解説してよ。

  てか、あんなにズバズバ間違いを言われたら、傷つくんですけど。

  すでに目には軽く涙が溜まっていた。

  絶対自力で解いてやる!

  あたしは再びペンを握り、机に向かった。