遂に、自宅のマンション近くまで辿り着いた。もう面倒になってそのまま帰宅する。
酒は、人の判断力を鈍らせるとつくづく実感。
「お邪魔しまーっす」
「…何でついて来た」
「お兄さん自棄酒してたっぽいから?」
「こんな年端も行かない女がストーカーか、世も末だな。それから不法侵入は立派な犯罪だぞ」
「年端も行かないってちゃんと二十歳越えてます!」
胸を張るような事か…こっちからしたらどう見ても子供。しかも犯罪って部分には触れないのか。
思う事は色々あったが言葉の応酬も疲れる、無言で踵を返した。
「む…しかし否定しないところを見るとやっぱり自棄酒してたんですね。疲れた顔してたし!」
喧しい。
何故見知らぬオッサンを気にかけているんだ。
眠い。
この年で失恋すれば自棄酒もしたくなる、結婚だって考えていた。
辛い。
酔っている、俺は酔っ払っているんだ。
ぐるぐると頭を巡る言葉の渦に耳を塞いで、手早く着替えて布団に潜った。
もう何も考えたくない。
怠い。
「私が、慰めてあげます」
泣きそうな顔をしたのは、誰?
